TOEICのリスニングは、パート3からは選択肢が印刷されているのよね。ちょっと安心だわ。
くまみさん、甘いわ!
TOEICリスニングはパート3が本番といっても過言ではないわ。
難易度も上がってくるわね。
えっそうなの?
どうしたらいいの!?
おすすめなのは、先読みをすること。
問題の音声が流れる前に回答の選択肢を読むの。
一緒に実践してみましょう。
TOEICテストのリスニング問題はパート3から一気に難易度があがるといっても過言ではないでしょう。
ただパート3からは設問と回答候補が印字されているため、事前に設問を読む「先読み」という攻略法がかなり効きます!
今回は、点数アップに直結する正しい先読み法を解説しますね。
後半では5つの設問パターンと解き方のコツを紹介するので、先読みと併せて使って点数アップを狙っていきましょう!
TOEICパート3の問題構成
まずはTOEICテストパート3の問題構成から見ていきます。
TOEICパート3の問題の構成
パート3はリスニングパート全体の中で最も問題数が多いパート。
パート3は男女2人または3人の会話が流れてきて、この会話に基づき3つの設問が出題されます。
回答は4択。
会話はパート3全体で13セットあり、1つの会話につき3つの質問が流れてくるので、パート3の問題数は全部で39問となります。
TOEICパート3に出るシチュエーション
パート3に出題される場面としては、よくあるのはオフィスやお店、電話など。
取り交わされる会話には、次のようなパターンがあります。
- 機器のトラブル
- お店での商品に関すること
- 予定に関係すること
- ツアー等の申し込み関係
- 注文のトラブル
- 病院の予約に関すること
- 求職に関するやりとり
TOEICでは政治や宗教に関わるような問題は出題されませんし、複雑な人間関係や深刻な事態に陥る状況もまず発生しません。
仕事を行う上で日常的に起こるトラブルを使って問題が作られていくんですね。
トラブルの解決策も、わりと決まった型があります。
たとえば機器が壊れた、という場合には「修理を受けつける」「代わりの品を送る」「クーポンを配布する」といった解決法によく行き着きます^^;
TOEICワールドには悪質なクレーマーはいないので、平和的な結論に落ち着きやすいんです。
模試を解く段階で問題の流れやパターンもチェックしておくと点数アップにつながっていきますよ。
TOEICパート3からは先読みが必須
ここからはいよいよ先読みを使って一緒に問題を解いてみましょう。
TOEIC運営団体の公式サイトにあるサンプル問題を使って、説明をしていきます。
先読みステップ1:設問の選択肢を読む
まずは音声が流れてくる前に、設問の選択肢に目を通します。
サンプル問題の一番最初の設問は、次のとおり。
設問①Why is the woman calling? 「なぜ女性は電話をしてきたのでしょう。」
(A) To cancel an order「注文をキャンセルするため」
(B) To complain about a product「商品に不満をいうため」
(C) To redeem a gift card「ギフトカードを引き換えるため」
(D) To renew a warranty「保証を更新するため」
この設問をみるだけで「女性が電話をかけてくる」という場面が流れてくると推測できますね。
4つの選択肢から「女性がお客さんの立場でお店に電話をかけてくるのではないか」というところまで予想ができます。
次に2つめの設問をチェックします。
設問② What does the man ask the woman about?「男性は女性に何を聞いていますか。」
(A) A model name「モデル名」
(B) A brand of coffee「コーヒーのブランド」
(C) A catalog number「カタログ番号」
(D) A date of purchase「購入日」
この質問内容から「男性はお店の人で、女性に何か質問する」場面が想像できませんか。
最後に3つ目の設問に目を通してみます。
設問③ What does the man offer to do?「男性は何を提案しているでしょうか。」
(A) Provide a discount「ディスカウントの提供」
(B) Send a free sample「無料サンプルの送付」
(C) Extend a warranty「保証期間の延長」
(D) Issue a refund「返金」
「ディスカウント」やら「返金」やら、どうも「お詫びの品」っぽい選択肢が並んでいますよね。
「何かトラブルがあって、お店側がお詫びの品を提供するのかも」と予測できます。
ここまで設問だけを読んで、次のような情報が得られました:
- 女性がお客さんで男性が店員らしい。
- 男性は女性に何かを聞くようだ。
- 何かトラブルがあり、男性はお詫びの品を提案するみたい。
音声を聞く前に、すでにかなりの情報が得られたと感じませんか?
ステップ2:音声を聞きながら問題を解く
では実際に音声を聞きながら、問題に回答していく段階に入ります。
音が聞ける環境であれば、こちらのページから音声を聞いてみてくださいね。
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会
まずは次のような音声が流れてきます。
女性:Hello, I’m calling about the coffee machine I purchased from your website. It stopped working even though I haven’t had it very long. I expected to last much longer than this.
「こんにちは。そちらのウェブサイトで購入したコーヒーマシーンについてお電話しています。これが動かなくなってしまったのです。それほど長く使っていないのですが。もっと長く使えると期待していたのですが。」
予想通りやっぱり、機器トラブル発生です!
この時点で、最初の設問①に答えられますね。
設問①Why is the woman calling? 「なぜ女性は電話をしてきたのでしょう。」
(A) To cancel an order「注文をキャンセルするため」
(B) To complain about a product「商品に不満をいうため」★正解★
(C) To redeem a gift card「ギフトカードを引き換えるため」
(D) To renew a warranty「保証を更新するため」
正解はB「商品に不満を言うため」。
引き続き、音声を聞いていきます。
男性:Oh, I am sorry to hear that. Our warranty covers products for up to a year. Do you know when you bought it?
「それは、申し訳ございません。当店の保証は1年間まで商品を保証しております。いつ商品を購入されたかご存知ですか?」
ここで設問②への解答が可能になります。
設問② What does the man ask the woman about?「男性は女性に何を聞いていますか。」
(A) A model name「モデル名」
(B) A brand of coffee「コーヒーのブランド」
(C) A catalog number「カタログ番号」
(D) A date of purchase「購入日」★正解★
正解はDの「購入日」。
マークシートに印を付けておきましょう。
なお”A date of purchase” という単語は音声に流れてきません。
“When you bought it?(いつ購入しましたか)” というセリフから推測していく必要がありますが、こういった形の言い換え型設問は多いので注意してくださいね。
それでは引き続き音声を聞いていきます。
女性:I’ve had it a little over a year. So the warranty is probably just expired. This is so disappointing.
「私はこれを1年ちょっと所有しています。なので、たぶん保証はちょうど切れてしまっていますね。とても残念です。」
男性:Well, I’ll tell you what we can do. Although we can’t replace it, since you are valued customer, I can offer you a coupon for 40 % off for your next purchase.
「そうですね。私どもにできることをお伝えします。当店では交換はできないのですが、あなたは大切なお客様ですので、次回のお買い物にご利用いただける40%割引クーポンをお渡しできます。」
予想どおり、お詫びの品で問題の解決をはかろうとしています!
これで3番目の設問に答えられますね。
設問③ What does the man offer to do?「男性は何を提案しているでしょうか。」
(A) Provide a discount「ディスカウントの提供」★正解★
(B) Send a free sample「無料サンプルの送付」
(C) Extend a warranty「保証期間の延長」
(D) Issue a refund「返金」
お詫びの品として男性が提案しているのは、Aのディスカウント。
いかがでしょうか?
先読みをしておくと、音声で流れてくる場面をあらかじめ予測できること、感じて頂けましたか。
問題を解く上でかなり有利になります。
実際、リスニングで高得点を取る人の多くは先読みを使って問題を解いているのです。
先読みの時間配分
先読みの流れをまとめると、次のようになります。
- 音声が流れてくる前に先読みを行う。
- 音声を聞きながら設問に解答する。
- 音声で設問が流れている間に、次の問題の先読みをスタートさせる。
問題の設問文が音声で流れている間に次の問題の先読みを始める、このリズムを作っていくことが大切です。
先読みって便利そうね。
僕もやってみようかな。
あら、英語以外でも使えるの?
たぶん。
クラスに国語の文章問題を本文じゃなくって、質問から読んでいく人がいるんだ。これも先読みだよね。
そうね!
本文の中に質問に答えるためのキーワードを見つけたら、質問に答える。そして次の質問を読んでまた本文に戻る、という流れで解いていくんでしょ。
そう!
その子、いつもみんなより早く解き終わるし、成績もいいんだよ。
分かるわ。
先読みはTOEIC以外でも、色々なテストで効果が出るワザだもの。
じゃ、ボクも使ってみようかな。
くまた、ちょっと待って。
さっきの例でも感じたけれど、先読みって結構大変そうよね。
ヘタに使うと、かえって点数が下がるんじゃないかしら!?
くまみさん、するどいわ。
国語でも英語でも「先読み」を使うには高い読解力が必要なの。
速く読む力がないのに無理に行うと、内容を理解できなくなってしまうわ。
えー
先読みのデメリット
ここまでは、先読みの具体的な方法とメリットを紹介してきました。
ただ感じ取っていただけたかもしれませんが、先読みを行うには高い読解力を要します。
つまり英語を早く読み、理解する力が必要なのです。
そこまでのスキルが整っていない状態で先読みをしようとすると音声が聴き取れなくなり、かえって点数が下がってしまうということになりかねません・・・。
「先読みの読解力が足りない」と感じたら、最初からフルに先読みをしようとせず、まずは設問の最初だけ読むといった形で取り入れてみてください。
先ほどの設問①でいえば、”Why is the woman calling?” という部分だけです。
★設問①Why is the woman calling? 「なぜ女性は電話をしてきたのでしょう。」★
(A) To cancel an order「注文をキャンセルするため」
(B) To complain about a product「商品に不満をいうため」
(C) To redeem a gift card「ギフトカードを引き換えるため」
(D) To renew a warranty「保証を更新するため」
これだけでも、“Why” “Woman” “Calling” という3つのキーワードが得られますよね。
このキーワードを意識しながら音声を聞くと、そうでない場合に比べて、音声の内容を理解しやすくなります。
もし「一文を読む時間もない!」という場合には、最初の疑問詞だけでも見ておくと良いですね。
なお音声が流れてきたら先読みはやめて、とにかく聴き取りに集中しましょう!
疑問詞だけ聞いても、先読みの効果ってあるのかなぁ。
あまり意味がないように感じるわよね。
それが、あるのよ。
実はTOEICパート3の設問にはパターンがあるの。
あら、またパターンね!
そう。
パターンを知っておけば、最初の疑問詞だけでも質問の内容を予想することができるわ!もちろん毎回ではないけれど。
へえ、便利だね。
ぜひ、パターンを知りたいわ!
TOEICパート3で聞かれる5つの設問パターン
TOEICパート3で聞かれる設問には実はパターンがあります。
簡単なものから紹介していきますね。
パート3の設問パターン① 概要・テーマ
最初の設問は、この「概要・テーマ」を聞くものが多いです。
「どこで」「誰が」「何をしているのか」「なぜそれをしているのか」といったことですが、次のような質問がよく出題されます。
【概要・テーマを問う設問例】
- Where most likely are the speakers?「話し手たちはどこにいる可能性が最も高いでしょうか?」
- Who most likely are the speakers?「話し手たちは誰である可能性が最も高いでしょうか?」
- What is the man planning to do?「男性は何を計画しているでしょうか?」
- What is the conversation mainly about?「この会話は主に何についてのものでしょうか?」
- Why is the woman ~ing?「なぜ女性は~しているのでしょうか。」
“most likely (最も可能性が高い)” というフレーズは超頻出ですね^^
この【概要・テーマを聞く】質問は、問題の詳細は分からなくても、会話が取り交わされている場所や雰囲気を感じることができれば答えられることが多いです。
聞き取れなくても、推測して答えておきましょう!
パート3の設問パターン② 詳細・具体的な事
これは先読みをすることで答えやすくなるタイプの質問。
2つ目か3つ目に出てくる傾向があります。
できれば先読みの段階で選択肢にまで目を通せれば、答えやすくなりますよ。
【詳細・具体的な事を問う設問例】
- What information does the man request?「男性が求めている情報は何でしょう?」
- What is the problem?「何が問題なのでしょう?」
- What does the man ask the woman to do?「男性は女性に何を頼んでいますか?」
- What will the man do in January? 「男性は1月に何をするでしょうか?」
- What will the woman most likely do on Wednesday?「女性は水曜日に何をする可能性が最も高いでしょうか?」
なお音声で流れてきた情報が、設問では違う単語で言い換えられたりすることも多々あります。
先ほど解説した設問②のような感じですね。
パート3の設問パターン③ 発言者の意図
発言者の意図を聞く問題ですが、これも2問目・3問目に出てくる傾向が強いです。
次のような質問がされます。
【発言者の意図質問を問う設問例】
- Why does the man say, “…..” ?「なぜ男性は・・・と言っているのでしょうか。」
- What does the man mean when he says “…..”?「男性が・・・・・といったとき、男性は何を意味しているのでしょうか。」
このタイプの質問では、話し手の意図を推測する必要がでてきます。
文脈を感じ取って、常識的な判断を行っていくようにしましょう。
たとえば 、次のような設問があるとします。
【話し手の意図問題】
Why does the woman say, “I can’t believe it”?
「女性はなぜ『信じられないわ』といったのでしょうか。」
この言葉だけでは、女性が喜んでいるのか悲しんでいるのか、判断がつきませんよね。
そこで音声を聞いて、女性がどんな文脈でこのセリフを言ったのかを考えていく必要があるのです。
たとえば「男性が女性にとって嬉しいニュースを伝えたあと」であれば、「女性が嬉しく感じたから」といった選択肢が正解になります。
文脈がつかめれば、それほどむずかしくありません。
設問中に引用されている言葉が音声で流れてくるので、その前後に注意して聞いていきましょう。
パート3の設問パターン④ 今後の行動
今後の行動を問う質問は、3番目によく出てきます。
会話の後、話し手が何をするのかを予測する問題ですね。
【今後の行動質問を問う設問例】
- What will the man probably do next?「男性はこのあと何をするでしょう?」
この質問があったら、最後のセリフを聞き逃さないようにしましょう。
たとえば最後のセリフが「それじゃ、彼女に電話しておくよ。」であれば、「同僚に電話する」といった選択肢が正解です。
音声の中の言葉が言い換えられたり、要約されたりするので、注意深く聞いておく必要があります。
パート3の設問パターン⑤ 図表
パート3の最後には、図表を使った問題が出てきます。
会話の中にでてきたキーワードと、問題用紙に印刷された図表を組み合わせて答えていく問題ですが、音声の最初に次のようなフレーズが流れてきます。
- Look at the graphic「図形を見てください」
これ実は、答えやすいボーナス問題である場合も。
図表問題の正解率がアップさせるコツを紹介しますね^^
たとえば、次のような図表があるとします。
【パート3図形問題例】
Which model will the woman choose?
「女性はAからBのうち、どのモデルを選ぶでしょう?」
こういった場合、設問にあるキーワードではないほうに目を向けるようにしましょう。
上記の問題例でいえば、model ではなく price をチェックしておきます。
なぜなら、音声では設問には出てこない側の情報を伝えることが多いからです。
たとえば、上記のような図であれば音声中で女性が「私の予算は1000ドルまでなのよね。その中で一番良いものがほしいわ。」といった発言をします。
このprice情報から判断して、正解は「タイプB」だと行き着きます。
このコツ、かなり効きますよ。
設問にもパターンがあるのね。少し安心したわ。
パターンを知っておくと、先読みの時しっかり読まこまなくても、パッと見るだけで質問の意味が分かったりするわよね。
ええ。
それに先読みは、最初の質問だけでも大分助かるわ。
選択肢まで目を通せれば良いのだけど、難しいと思ったらムリしないで。
まずは最初の質問だけ目を通してみてね。
それだけでも、ぐっと有利になるね!
まとめ
今回は先読みを中心に、TOEICパート3の攻略をお伝えしました。
・TOEICパート3に出題される場面にはパターンがある。
・音声の前に設問を読む「先読み」を使うとパート3で点数をのばせる。
・先読みがむずかしいと感じたら、質問のキーワードとなる単語だけチェックすると良い。
むずかしい場合には、質問の疑問詞だけでも見ておく。
・質問には次のようなパターンがあり、パターンを把握しておくと先読みが楽になる。
①概要・テーマ
②詳細・具体的なこと
③発言者の意図
④今後の行動
⑤図表
TOEIC800点以上のリーディング力があれば、先読みは難しくないでしょう。
ぜひあなたに合った形で取り入れて、リスニングパートの山場であるパート3の点数を着実に伸ばしていきましょう!