英検とTOEIC、どちらを受けたら良いのかしら。
悩みがちなところよね。
2つのテストを徹底比較して、選び方のコツを紹介するわね。
学生ではなく社会人が英検やTOEICを受ける目的は、大きく分けて2つ。
1つは転職や再就職を有利にするため、もう1つは試験の勉強を通じて英語力をつけるためです。
この2つの目的を一気に果たそうとすると、「どちらを受けたら良いのか分からない」と悩んでしまったりします。
今回はTOEIC960点と英検1級を取得した私自身の経験もふまえ、キャリアと英語力をつけるためには忙しい社会人はどちらの試験を受験したら有利かお伝えしますね。
英検とTOEIC徹底比較
まずは英検とTOEICテストのレベルの違いからチェック。
その後、具体的に就職活動で有利になる目安を解説しますね。
英検とTOEICのレベル比較
日本以上に多言語が行き交うヨーロッパにおいては、外国語力を測る共通の物差しが必要となり、CFER(セファール)という指標が作られました。
国際化が進む世の中で、CFERは外国語のテストのレベルを測る国際基準となっていき、異なるテストのレベルを共通軸で比較するために使用されています。
英検とTOEICの公式サイトにはそのままの形で比較できる資料はないので、このCFERを仲介にしてレベル比較を行っていきます。
比較結果は、次の通り。
CEFR | 英語レベル(概略) | 英検 | TOEIC L&R |
---|---|---|---|
C2 (熟練) | ほぼすべてを容易に理解でき、自然かつ流暢に正確に英語で自己表現ができる | 該当なし | 該当なし |
C1 (熟練) | 言葉を探している印象を与えず、自然かつ流暢に複雑な話題についても英語で自己表現ができる | 1級 | 945~ |
B2 (自立) | ネイティブ話者と緊張せずやり取りできる程度に流暢かつ自然で、幅広い話題について明確で詳細な文章を作れる | 準1級 | 785~ |
B1 (自立) | 身近な話題について筋が通った簡単な文章を作れる | 2級 | 550~ |
A2 (基礎) | 日常的な範囲なら単純で直接的な情報交換が可能 | 準2級 | 225~ |
A1 (基礎) | 相手がゆっくり、はっきりと話し、かつ相手の助けを得られるなら、簡単なやりとりは可能 | 3級・4級・5級 | 129~ |
※参考としたサイト:文部科学省:各試験・検定試験とCEFRとの対照表
BRITISH COUNCIL: CEFR
大まかにですが、英検2級がTOEIC600点レベル、英検最高峰の1級は、TOEIC950点程度であると解釈できます。
就職活動で有利になるレベルの目安
では次に就職活動で有利になるレベルを解説していきます。
「履歴書に書ける」のはCFERのB1あたりですね。
TOEICであれば平均点やや上である600点、英検であれば2級。
ただこれは就職活動を有利にするには弱い。
「英語力をアピールできる」資格としては、CFERのB2あたりが必要でしょう。
TOEICであれば700点後半~800点程度、英検なら準1級です。
【就職活動に使える目安】
履歴書に書ける | CFER B1, TOEIC600, 英検2級 |
---|---|
英語力をアピールできる | CFER B2, TOEIC750~800, 英検準1級 |
ちなみに「英検は期限がないけれど、TOEICには受験後2年の期限があるので、履歴書に書くには英検が良い。」といも言われますが、これは根拠がはっきりしない説です。
TOEICのスコアには特に決まった有効期限はありません。
おそらくTOEICテストの運営団体がスコアの証明書を再発行してくれる期限が2年というところから、こういった話が広まったのではないかと推測されます。
英検もTOEICも募集要項に規定がなければ、期限なく試験結果を履歴書に書けます。
ただあまり昔に取得した資格は良い効果をもたらさない可能性が高いので、その場合は最近の英語力を示す経験をいれておくなど工夫しましょう。
スコアの有効期限については、こちらの記事で解説しています。
なんとなく、2つのテストのレベルの目安が分かってきたわ。
英検とTOEICって、テストの内容も違うの?
違っていたら、簡単なほうを受けておいたほうが、得だよね。
確かにそうね。どっちが難しいとかあるのかしら?
難易度と言うより、試験の中身がかなり違うわね。
英検とTOEICの試験の内容、見ていくわね。
英検とTOEICテストの内容比較
英検とTOEICテストの内容の比較は次のとおりです。
英検は級により内容が異なるため、ここでは英検1級の情報を基準にしています。
比較ポイント | 英検 | TOEIC L&R |
---|---|---|
測定する能力 | 4技能 (聞く・話す・読む・書く) 但し級による。面接は3級から。 | 2技能 (聞く・読む) |
試験内容 | 家庭・職場・地域など。 準1級から難易度が上がり、教育・科学・環境・医療なども。 | ビジネス一般 |
筆記問題数 | 1級では69問 -リスニング27問 -リーディング41問 -ライティング1問 | 200問 -リスニング100問 -リーディング100問 |
解答時間 | 1級では135分 -筆記100分 -リスニング35分 | 120分 -リーディング75分 -リーディング45分 |
費用 | 9,500円(1級) | 5,725円 |
判断基準 | 合否判定 | スコア判定 |
開催回数 | 年3回 | 年10回 |
社会人受験者数(2018年) | 約40万人 | 約41万人 (IPテストは除外) |
※表は下記サイトの情報を元に本サイト運営者が作成
国際ビジネスコミュニケーション協会:2018年受験者数と平均スコア, p.6
一番よく取り上げられる違いとしては、英検は4つの技能を全て測るのに対して、TOEICはリーディング力とリスニング力だけを見るという点です。
英検では、話す、書く、といったアウトプット力も含めた総合的な英語力を見られるのですね。
こういった手間がかかることも影響してか英検は年3回しか実施されないのに対して、TOEICは年10回も開催されます。
また英検は合否判定であるのに対し、TOEICは合否判定がなく、今の実力を細かくスコアで確認できます。
受験者数についていうと、ここでは社会人だけに絞って比較してみたところ両試験の受験者数はほぼ同じでした。
ちなみに両テストとも受験者数は伸びています。英語力を上げることへの関心が高まっていることが伺えますね。
へえ。
両方とも英語のテストだけど、内容はけっこう違うんだね。
TOEICのほうが手軽そうだけど、英検のほうが4技能見れて良いわね。
結局、どちらを受けたら良いのかしら・・・?
それじゃ最後に、選び方を紹介するわね。
英検とTOEICの選び方
ここまで見てきた内容をまとめると、英検を受けたほうが、バランスよく英語力を伸ばせる気がしませんか?
試験の勉強を通じて英語力を上げるのが目的であれば、4つの技能を総合的に伸ばせる英検に利があります。
一方TOEICは、一般的にTOEIC L&Rテストを指しますが、このテストではリスニングとリーディングの2技能しか評価しません。
ただTOEICテストは日本の多くの企業で英語力の指標となっており、求人の足切りとしても使用されています。
こういった事情から、もし就職活動で英語力をアピールすることが目的なら、TOEICテストの方が便利でしょう。
もし「英語力も伸ばしたいし、就職活動にも使いたいから両方受けたい!」場合は、両テストを受験した私自身の経験から言うと、まずはTOEICから挑戦し、その後に英検を受けるという順番が良いでしょう。
私は英検1級まで取りましたが、この資格は「英語の資格に興味がある人」には認めてもらえるものの一般的な認知度はそれほど高くはないことを実感してきました。
それにも関わらず英検は特に準1級あたりからやや学術的な問題が増えていき、これに応じて新たに英単語を暗記する必要もあり、手間がかかります。
ちなみにこちらは私が英検1級を勉強していた時に使用していたキクタン。
“ailment” (軽い病気)、”blister”(水膨れ)、”levity” (軽妙さ)など、受験以後使うことがないものも結構ありますね^^;
一方TOEICは取得を推奨する企業が多く、一般的な認知度が高いので、高スコアを取ればそれだけインパクトを与えられます。
またTOEICでは日常的なビジネスで起こる場面を元に問題が作られるため、そこに出てくる単語は、普段の仕事でも使えます。
こういった状況から、もし両方受けたい場合にはまずはTOEICで就職活動や昇進を有利にするだけのスコアを取ってしまうことをオススメします。
覚えた英単語などの知識は実践で使えますし、スコアは就職活動に活かせます。
TOEICスコアを伸ばした後に英検に挑戦すれば、じっくりアウトプット力を伸ばしていけるでしょう。
TOEICスコアを伸ばすときには英語を速く読む力が身に付きますが、こういった力は英検でも役立ちますよ。
なるほど。
就職にはTOEICで、4技能を伸ばすには英検ね。
英検はムズカシイ級になると面接やライティング対策もあるし、開催回数も少な目。じっくり取り組んだほうが良い気がするわ。
両方一緒に受けたらどう?
同時期に勉強するってことね。
うーん、それはちょっと大変だと思うわ。
パニックになっちゃうわよ!
まとめ
今回は英検とTOEICテストの比較をしました。
■2つのテストのレベルは次の通り:
-英検2級はTOEIC600点程度に該当するが、履歴書に書けるのはこの辺りから
-英語力を強くアピールするには英検は準1級、TOEICは750点~800点以上
-最高峰は英検なら1級、TOEICは950点以上
■英検は4技能を測ることが特徴。一方TOEICは開催回数が多く、またスコアで細かく実力を確認できる
■どちらか悩む場合は就職活動などで使いやすいTOEICを先に受け、ある程度のスコアを取っ手から英検に進むのが良い
目的に合わせて受けるテストや受ける順番を決め、あなたのキャリアにフル活用していきましょう!
就職活動の対策には、こちらの記事も役立ちます。